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経営史学会の課題
経営史学会会長 湯沢 威
2005年1月から、宮本又郎前会長のあとを引き継いで、経営史学会の運営を担当することになりました。会員の皆様のご支援を仰ぎながら、これまで培ってきた本学会の伝統を守り、さらに発展させて行きたいと存じます。
現在私が会員の皆様とともに推進して行こうと考えている課題は次の3つであります。第1に、全国大会や各部会を通じて、あるいは学会発行の『経営史学』やJRBHにおいて、経営史学会の学問研究を一層活発化し、経営史という学問に魅力を持ってもらうことです。かつては、組織と戦略、専門経営者、財閥、企業グループ、日本的経営などいくつか争点があって、それに対して多くの研究者が優れた研究成果生み出して参りました。それらは時代状況を的確に捉えて、研究者相互が論争を通じて切磋琢磨するということがありました。今日、第三次産業革命の時代と言われ、市場主義が強調され、コーポレート・ガヴァナンス論が脚光を浴びる時代に、ポスト・チャンドラーの議論をどのように展開するのかと言う問題もあります。皆様が学会のさまざまなメデイアを通して、大胆かつ斬新な問題提起をされて、活発な論争を展開されることを期待申し上げます。
第2は、学会の伝統である国際化をさらに推し進めていくことであります。かつて谷口財団は本学会の国際化に多大の貢献をされましたが、現在これに匹敵するような財団もない中で国際化事業をどのように推進するのか、難しい面があります。しかし、さまざまな工夫をしながら経営史学会の伝統である国際化戦略を積極的に推し進めていく必要があります。そのような中で、とくにアジアにおける経営史研究の連携を密にしていく必要があると思います。ヨーロッパでは、ヨーロッパ経営史学会が活発な活動を繰り広げており、またアメリカの経営史会議も、イギリスやフランスで開催することにより、国内の大会が、いまや国際化しつつあります。世界経済におけるアジア経済の現状を考えるにつけ、アジアにおける経営史研究の共同作業はとくに必要になっているのではないかと思います。
第3に、若手研究者の育成をどのようにはかっていくかということであります。これは第1の課題で指摘したように、若い人たちにとって魅力ある研究をどしどし生み出していくことが前提となりますが、若手の研究者の研究環境をどのように学会としてバックアップしていくことが出来るのか、皆様と一緒に考えたいと思います。まずは、若手研究者に関する情報の収集や提供、彼らの研究成果の発表の場の確保、海外での発表の促進など、将来の学会を担うであろう人たちの育成を、学会の力でどこまで出来るのか、その可能性を探りたいと思います。
これらの課題以外にも、学会として取り組まなければならない課題は山積していますが、皆様のご支援、ご協力を仰ぎながら、学会の発展のために微力ながら貢献いたしたく存じます。
経営史学会会長 湯沢威
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